上林裕子さんからのメッセージ
日本はみどりのそよ風が心地よい季節を迎えていることと思います。大震災による災害に対し、日本が一つになって復興に向けて頑張ろうとしている
姿に心打たれます。
私自身はパリに住まい、十分な電気も水も与えられ、何一つ日本にいる人達とその苦しみや不便ささえ共にすること無く暮らしている事に、日々複雑な思いを持
ち続けております。そんな中友人であり、日本でも人気の高いピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダ氏の呼びかけで、共に4月30日、パリのサルガボーにおいて、チャリティーコンサートを行いました。
クラシック、ポップス、俳優、ダンサー、モードといろんな分野から100人を超えるアーティストが出演してくださいました。チャリティーは朝11時から深夜の1時に至まで、5つのコンサートが開催されました。
また懇意にさせていただいているデザイナーのコシノジュンコさんに、このチャリティーのことを話したら、こうして日本に思いを寄せてくれているフランスのアーティストにお礼の思いを伝えたい、と言って、このチャリティーの為にわざわざ日本から参加してくださいました。
それで、私の音楽「時の外で」の第二楽章と第四楽章に若手の振り付け師、アルチュール・ペロウが振り付けをし、ジュンコさんが衣装を制作し、4人のバレーダンサーが踊るというコラボレーションの舞台を作りました。振り付けには、鶴が降り立ち、再び大地が芽吹くと言う、復興への強いメッセージと、亡くなられた
方への深い祈りが込められており感動致しました。
また今回の私の作品の演奏は、是非日本人の若手でやりたいと思い、パリにてランパルコンクールで優勝したフルーティスト、上野星也くん、そしてアメリカからピアニスト、ジャスミン アラカワさんが演奏のためかけつけ、「オルシアの物語」の第三楽章を熱演してくださいました。
またジャン=マルクのために「赤とんぼ」を編曲し、彼とサプライスを用意していたのですが、時間が押し押しだったため、どうしても曲の半分しか演奏出来ませんでしたが、ジャン=マルクは、これからも機会あるごとにこの曲を演奏したいと言ってくれています。日本でも聞かせてくれるのではないかと思います。
日本は今、大震災という重い災害の中にありますが、この震災を通し、フランス人のアーティスト達の日本への深い想いを知る事が出来ました。また私たちもこのチャリティー開催における過程において、震災に対し、そして被災地の将来についてもより深く考えることにもなりました。
そして何よりもフランス人のアーティストたちと、より強く日本が結びついて行った気がします。また、このチャリティーをオーガナイズして行くその過程において、私自身の心も癒されて行った気がします。
パリに住まいながらも、日本のために何かしたいという思いを持っておられるたくさんの日本人、フランス人のボランティアの方々も、このコンサートを支えて
下さいました。震災によってあまりにも多くのものが失われてしまいましたが、こうして震災によって得た心のつながりもあるといことが、希望の光である気がします。
震災を機に、フランス人の方々と私たち日本人は、国籍を超え、人間同士としてますます強く結びつくことが出来たと感じています。この痛みに対して世界が一つになる想いを、フランス人、また日本人の友人達と共に、音楽を通し、これからも大切に守り、育てて行きたいと思います。
頑張りましょう!!
上林裕子
チャリティーの演奏の模様(You Tube)
* オルシアの物語、第三楽章
TOUS EN SCENE POUR LE JAPON @salle GAVEAU 1
http://www.youtube.com/watch?v=iwe8HQUWc_o)
*時の外で 第二、第四楽章
TOUS EN SCENE POUR LE JAPON @salle GAVEAU 2
http://www.youtube.com/watch?v=V8KCRzU90po)
*コシノジュンコさん、高田賢三さんごあいさつ
TOUS EN SCENE POUR LE JAPON @salle GAVEAU 3
http://www.youtube.com/watch?v=v2KVzcJUrIQ)
*ジャン=マルク・ルイサダ「赤とんぼ」
TOUS EN SCENE POUR LE JAPON @salle GAVEAU 4
http://www.youtube.com/watch?v=4HWSIR3Jde0)